KONRIN'S GARAGE

【スバル360のページ】

個人で作業する際には、怪我や車両破損のないように
十分注意の上、各自の責任で作業してください
いかなる損害に対しても、当方で責任はもてません


 オイルポンプのオーバーホールを依頼されましたので
作業内容をご紹介いたします

依頼されたポンプはR2のポンプとスバル360のポンプです
両方の違いを見ながら、作業の解説をします

持ち込まれたR2のオイルポンプです
綺麗に清掃された状態で
持ち込まれました

もし汚れている場合は、面倒でも
清掃してから分解に入りましょう

清掃作業は、作業の基本なので
きちんと行いましょう
こちらは、スバル360の
オイルポンプです
同じく、綺麗な状態で持ち込まれました

ダイヤフラムのカバーの
形状が違います
とりあえず、プランジャーガイドから
外します
こちらは、R2のものです
ワッシャーがロックワッシャーを
兼ねています
また、R2でもスバル360と同形状の
ものもありますので
年式の違いがあるのか
改造されたポンプなのかは不明です
スバル360のポンプは
普通のアルミワッシャーを
使用していました
外したプランジャーガイドです
純正品で磨耗も殆んどないので
再使用することにしました
コントロールレバーを外します

バイスにレバーを固定して外します
ポンプを固定して外すと、カムに
無理な力がかかるのでやめましょう
デスビ側の駆動軸を分解します

カバーを外して、シャフトを右回転
させると外しやすいと思います
ディファレンシャル側を分解します

ポンプ本体は、バイスに固定しています
ディファレンシャル側の内部です
部品を紛失しないように注意
ダイヤフラム側のカバーを外します

これは、R2のものです
コントロールケーブルを固定する
ステーがついています
こちらは、スバル360のカバーです

コントロールケーブルを固定する
ステーはエンジン側にあります
カムとシャフトを固定している
ピンをポンチを使用して外します
細かい部品をなくさないように
注意しましょう

これは、R2のものです
カムがスバル360と違います
こちらは、スバル360のカムです
形の違いがすぐに分かると思います
プランジャーを外します

ほとんどのポンプで動きが渋くなって
いると思います

きつい場合は、バイスにポンプを
固定して、径のあったシャフト等を
使用してシリンダー等に傷を
つけないように少しづつ
叩きながら注意して外します
オイルチューブの取り付け部を外します
プランジャーが渋い場合は
シリンダーを研磨します

この作業には、いろいろな意見が
あると思いますが、私は1500番位の
ペーパーを丸めて使用しています
ディファレンシャル・プランジャーと
スリーブの動きが悪い場合も
研磨が必要です
研磨作業が終わったら、すべての穴を
エアーで清掃します

この時、ブレーキクリーナーを
使用すると水分を呼び込む場合が
あるので注意しましょう
小さな穴も忘れずに
吐出側はチェックバルブになって
いるので分解して清掃します
組み付け順序は左の順番です
吸込側のものは、表裏がありますので
注意してください

径の大きいほうがポンプ側です
清掃が終わったら、元通りに組みます
カムのコントロールシャフトに
Oリングがあるので交換します

組んだら、Oリングにグリスを塗ります
組み付け順序は左のとおりです
シャフトの平らな方をこちら側に向けて
カムを写真の向きで入れます
この状態だと、カムが反対向きです
こちらは、スバル360の場合です
(カムが違うだけです)
スバル360の場合は
このような状態です
この状態だと、カムが反対向きです
向きがあっていたら、ピンを打ち込み
カムとシャフトを固定します

シャフトを回してみて、ピンが均等に
入っているか確認してください
プランジャーを写真の向きで入れます

初期潤滑を確保するため
薄くグリスを塗っておきます
写真の順番で
ディファレンシャル・プランジャー等を
組みます
ディファレンシャル・プランジャーに
薄くグリスを塗ります

スリーブの向きに注意
ディファレンシャル・プランジャーの
向きは右側にスプリングが入るように
組みます
Oリングがあるので交換します
キャップを締めます
カム部にグリスを入れます
Oリングがあるので交換します
ダイヤフラムも交換します

純正とは比べ物にならない
良い品質のものです
カバーを取り付けます
写真はR2のものです
駆動軸のカバーに、オイルシールが
あるので交換します

リップ部にグリスを塗ります
裏側には、Oリングがあるので交換
シャフトにグリスを塗ってから組みます
左に回しながら組むと入りやすいです

オイルシールのリップ部を傷つけない
ように、慎重にカバーをつけます
プランジャーガイドのワッシャーが
痛んでいる場合は交換します

コントロールレバーも取り付けます
レバーを動かして、異常に渋くないか
確認します
プランジャーガイドは
手で締めていきます
途中で堅くなる場合は、レバーや
シャフトを動かして、軽く入る位置を
探しましょう
無理をして入れてはいけません
破損します

最後まで、入ってから工具で締めます
 
 
この時点で、シャフトを
手で左に50回転くらい回して
引っ掛かりがないか確認します
もし、動かなくなってしまう場合は
どこかで組み立てミスをしています
このまま、エンジンに付けるとポンプ等が
破損しますので
確認する癖をつけましょう

動きに問題が無ければ
ロックワッシャを折り曲げます
(ロックワッシャー付の場合)

以上で終了です
ガスケットもオーバースペックですね
オーバーホールが終わって
ご主人のところへ帰るポンプです

組み付け時には、軍手等は使用せずに
素手で作業しましょう

オイルタンクは水が入りやすい位置にあるため
水が入っていないかの確認が必要です
折角ポンプをオーバーホールしたのに
ライン内に水が残っていては無駄になってしまいます

今回は、ポンプ単体での作業のため
配管のエア抜き等の作業はありません
また、機会がありましたらご紹介いたします


★おまけ★
参考までにご覧ください
別のオイルポンプ・オーバーホールを依頼された時のものです
プランジャーが固着しており、ギヤー部が損傷しております
もちろん、再使用はできません

こちらは、中期・後期型ポンプと初期型のポンプとの比較です
(右側が初期型のポンプです)
まず目に留まるのが、ポンプの吐出側の違いです
中期・後期型が一体構造なのに対して、
初期型はパイプとステーを使用しております
また、ダイヤフラムカバー部の形が違いますね
反対側から見た写真です

ダイヤフラムカバーの部分です

左上:後期型
右上:初期型
左下:R2用
また、中期型と後期型でも
ダイヤフラムカバーの形が違います

左:後期型
右:中期型
ポンプ本体の形も違います

左:後期型
右:中期型
ダイヤフラムとカバーです
初期型はキャップの中に
ダイヤフラムが入っています
カムの形状が違います
カムにコントロールシャフトの
ストッパーが後期型にはありますが
初期型にはありません

左:後期型
右:初期型
こちらは、中期型と後期型との比較です
カムの形が若干違いますね

左:後期型
右:中期型
プランジャーの違いです
カムとの当たり面の形状が違います
他の部分の形状は、ほぼ同じです
カムのストッパーが、プランジャーの
凸部にあたり、動きを規制しています
左:後期型
右:初期型

初期型については
下の写真をご覧ください
初期型のストッパーは
ポンプの外側にあり
直接レバーの動きを規制しています
その他、細かい部分の違いについては省略しました


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